紙媒体からキャリアをスタートした清水さん。紙とWeb、両領域を横断しながら培った“ハイブリッドな視点”を強みに、現在はフリーランスとして企業案件のデザインやディレクションを手がけています。6歳と2歳の子どもを育てる母として、柔軟な働き方を模索しながら、現場での学びを確かな技術へ変え、自分の可能性を更新し続ける。その仕事観とリアルな思いを伺いました。
紙とWebの狭間で得た、ハイブリッドな視点

—— 清水さんは、もともと紙媒体からデザイナーのキャリアをスタートされたそうですね。
清水さん:はい、新卒で紙媒体の制作会社に入って働いてたんですけど、その会社がweb制作の会社と合併して。webの部署に異動することになったんです。システムから構築する流れだったので、システムの部署とも連携を取らないといけなくって。異動してからは先輩に教えてもらいながら、JavaScriptやphpなどコーディングのスキルを身につけました。
大学時代に、趣味でウェブサイト作ったりしてたのですが、全然、専門的な知識はありませんでしたから、大変でしたね。
—— なんだか放り込まれるようにwebの世界に入ったんですね。部署異動は希望したんですか?
清水さん:放り込まれましたね(笑)。当時って、まだ紙のデザインの方が強いというイメージがあったんですね。紙のデザインのやり方を踏襲してwebに当てはめていくことがあったんです。社内でも色々試行錯誤してやっていきましょうという雰囲気で、webの部署に1人は紙がわかる人がいた方がいい、という流れで私が入りました。
周りは、webができる方ばっかりだったんです。逆に甘えちゃって。学びがストップしちゃうというか、伸び悩みしてたんですけど、そのあと2社ほど転職して、最後に入った会社はweb制作のできる人が1人もいなくて。そこでは自分で頑張るしかない環境で、とくにここで経験を積みましたね。
—— 移行期をガッツリ経験されて、今ではwebと紙の仕事両方されてますよね。結果的にハイブリッドに…!
清水さん:そうですね。最後に入った3社目の方針が「なんでもできる人をそだてる」というもので、web制作の一通りの作業を経験したんです。実際は分業していたほうが、色々効率が良いんですけど…。でもいろんな視点があった方が、結局分業化した時にも話が通じやすくていいよね、って。強制されたわけではなかったですが、できればそうなってね、という社風だったんです。
清水さん:その経験から、今、ディレクションをするなかで、たとえばスケジュール管理の時なんかは、エンジニアさんの時間の感覚が捉えやすかったりしますね。知識としては浅くですけど、コーディングがわかるので。会社員時代の経験が生きてます。
—— どういうきっかけでフリーランスになろうと思ったのですか?
清水さん:もう完全に、働き方を見直したいっていう気持ちです。最後にいたのは広告の制作会社だったんですけど、結構激務で。しかも、10年前ですよ?そんなの普通でしたから(笑)。数日休む日でさえ、会社と連絡をとりつつ…という感じで。ちょっと体調も崩し気味だったし、考えたいなって。
当時結婚して2年目ぐらいの頃で、これからの出産・子育てのことも考えました。そこで、自分で調整できる仕事量とかじゃないと厳しいなと。まだ出産の予定はなかったんですけど、ちょっと整えておこうかな、と思ってフリーランスに転向したんです。
—— なるほど…。聞く感じだと、1日休むのも大変そうですもんね。
清水さん:当時まだ、その会社で出産して働いてる女性がいなかったんですよね。子どもができたらやめる人が多かったんです。でも、現在その会社と仕事をしてるんですけど、社内には子育てしながら働いてる方もいて…、良い意味で、「時代変わったな」って感じですよね。
清水さん:もうひとつフリーになった決め手としては、3社目の制作会社で働いてる時に、一緒にお仕事してた会社さんから「フリーになったらやってほしい仕事がある」って結構声かけていただいていて。どういうものかっていうのを経験したいってのもあって、じゃ、やってみようかなって。もし合わなかったらまた(就職を)考えればいいやって。
—— 会社員時代に培ったスキルは十分ですもんね。ちなみに今はどんなふうに新しい知識を吸収しているんですか?
清水さん:会社員の頃からですけど、基本的に実務から学ぶタイプなんです。過去の経験を思い出したり、いただいた案件から色々学んでいます。どうやら、実際にやってみないと、自分の技術にならないみたいで。
もちろん、本を開いて勉強したこともあるんですけど、結局あんまり身にならなくて。本を読んだだけだと、あれ、これどうだっけって、いつも調べなきゃいけないんですよね(笑)。なのでフリーランスの今でも、実務から学ぶことが多いですね。
濃密な現場で磨かれた、フリーランスの基盤
——デザイナーからディレクションも担うようになったとき、プロジェクトを進めるうえで意識していたことはありますか?
清水さん:そうですねえ、「1人じゃできない」っていうのはずっと思っていましたね。たしかにデザインもスケジュール管理も、自分でやっていますけど、結局はいろんな職種の人と協力しないと回らないし、納品できないので。なので、とくに会社員の時に気をつけていたのは、とにかくコミュニケーションというか、仲間のケア。仕事の話とかではなくてもこまめに「私生活とか、最近どう?」って聞いたりしてました。
清水さん:私、全然ディレクターの知識が豊富なタイプじゃなくて、「コミュニケーションでなんとかしよう」としていますから。完璧なディレクターというよりかは、デザイナーとしてディレクションできるっていう、ちょっと全然違う目線でいようとは意識してました。
—— 最近どう?って聞いてくれるの、嬉しいと思います。でも、大規模なディレクションは大変だったんじゃないですか?
清水さん:もちろんもちろん。正直大変でした。とくに提案は大変でしたね。クライアントがしっかりとデザインの希望を持っている場合は、なるべくそこに合わせていくんですけど、一方で、一般のユーザーに響くかどうかもきちんと考慮しないといけない。今の時代の流行りもありますし、そこをマッチさせていくのが…、難しいなと思うことが多かったですね。
でもそういう案件って、「あれ、よかったよ」って、先方から言ってもらった時の喜びがひとしおなので……!
—— 提案で思惑通りにいかないとき、チームをまとめるのは苦労しそうですね…。
清水さん:そうですね。たとえば、最後まで作ったのに“どんでん返し”…というのは、よくあったんですよ。でもそういう時こそ、私がチームワークにすごく救われる場面が多かったですね。さらに、大きな案件が終わったら、「はい、みんな頑張ってくれて、ありがとう!」って。その後に、「あそこは大変だった」「あれはどうなることかと思った」って、みんなで喋るのが楽しいんですよ。
—— お話を聞いてて、猛烈社員という言葉が頭に浮かびました…、濃さが伝わるというか…!
未知の業界でも“学びながら進む”

—— フリーランスの今、クライアントに提案する際に気をつけていることはありますか?
清水さん:そうですね。たとえばクライアントから、「今まで使ってたデザインじゃなくて、ちょっとまた1から作り直してほしいです」って言われたときに、全然違う新鮮な案と、今までのデザインを踏襲した案を両方出すんです。そうすると、結果的に今まで踏襲した案になることが多いんですけど、でもこれって、新鮮な案を出さないと、踏襲した案もはっきりとは選べない。
清水さん:「方向性としてこんなのもありますよ」というのは、意識的に提案するようにしていますね。全然予想を裏切る場合もありますけど、ヒアリングをもとに、どんな方向性の案に、どんな方向性の案を当てていくかは考えています。「1から作り直して」って言われたとしても、言われたことだけやって…というのだとちょっとどうかな?って思っているんです。
—— いろんな業界の媒体を手掛けていますが、触れたことがない業界の理解はどうやって深めているんでしょう?
清水さん:基本的ですけど、競合調査とか資料調査とかを一応自分でやって、ちょっと理解を深めて、あとはもう手を動かしながら学んでいくことが多いですね。初めての業界は、勉強しながらやりますというスタンスです。その業界を知り尽くしたデザイナーって、あんまりいないと思うので、クライアントも「ちょっと一緒にやってみましょう」というスタンスの方が多いかなと思います。あと、ほら、わかったふりしてしまうと自分が後で辛くなりますし。
清水さん:たとえば、美容医療だと表現として言えることや言えないことの線引きが独特だったりするんですけど、その辺は会社員時代に案件からちょっと学んでたので。この間、クロスデザイナーさんに紹介していただいた美容医療系のwebサイトの案件には通じるものがあって役に立ちました。
—— 実戦の経験を、次の実践に引き出して使っているんですね。
子育てと仕事を両立するための“時間設計”
—— 6歳と2歳のお子さんを育てているんですよね。フリーになったタイミングはいつ頃になるんでしょう?
清水さん:6歳の子を産む3年前にフリーになりました。子育てがあると、やっぱり仕事にかける時間が限られるので、なるべく、時間が最後に余るようにスケジュールを組むんです。案件をいただいてからかなり最初の段階で、動きを予測して、整理できるかっていうのが勝負。きちんと予想しておかないと、あとでほんとうに時間がなくなってしまうので、どれだけシミュレーションできるかですよね。
清水さん:ちなみにクロスデザイナーに登録したのは、下の子を産む1年前ぐらいでした。クライアントさんも良い方ばっかりで、トラブルになるようなことも何にもなくて、たとえ心配ごとがあっても、担当のエージェントに相談できるので心強いです。フリーランスだと相談ってできないですからね。あと、後ろだてがほっとするというのもありますし…。
—— もし差し支えなければ、どんなご相談をされてるんですか?
清水さん:仕事の相談というよりかは事務的なことですね。たとえば、クライアントから稼働時間を増やしてほしいと言っていただいた時とか、業務の幅を広げてほしいと頼まれたりとか。ありがたいけど、直接お断りするのはちょっと、というときにはディレクターさんに相談したりします。
清水さん:でも本当、クロスデザイナーのクライアントもエージェントも優しいんですよ。以前、子どもの体調不良で1週間稼働できなくなってしまった時もご相談して「ああ、じゃあちょっとスケジュール調整しましょう」って、さらっと言ってくださって、助かりました。
清水さん:ほかのクラウドソーシングサイトに登録したこともあるんですけど、がっつり専属希望の案件が多くて、ちょっと自分の時間を確保しづらいなと。フリーランスとしての働き方がうまくできなさそうだな、と思うことが多かったんですね。その点クロスデザイナーは、最初の面談の時点で、働き方や稼働時間を理解していただいてから案件を探してくれるので、子どもがいても働きやすいです。
子どもがいないうちは、後からでもどうにかなるって思ってやってた部分があるので…。
—— “後からでもどうにかなる”、わかります。徹夜すればいい、ぐらいの気持ちですよね。
清水さん:そうですそうです。「夜があるし」って、思うじゃないですか?子育ては夜がないんですよ(笑)!なので、できるだけ早めに巻きでやって、余裕作っておく、調整しとければいいかなって感じで進めています。本当に子どもって、急に熱を出しますからね。そういう時は、夫に家にいてもらったりとか、病児保育も使ったりして。でも子どもが年齢を重ねてきて、最近はだいぶ落ち着きました。
余談ですけど、以前子どもから手足口病をもらっちゃったんですよ、あれはきつかったですねえ……。
「できることを広げる」UI/UX・アプリ領域への挑戦
—— ところで最近、クロスデザイナーの担当に、アプリや、UI、UXの案件をやりたいと話していると聞きました。
清水さん:そうなんです。理由としては、単純にそういう募集、ニーズが多いから。今って、webサイトを簡単に作れるツールがあるじゃないですか。なので、「サイト作れます」だけだと、もう狭すぎるという印象が強いなって思っていて。自信を持って「アプリ、UI、UXできます!」って言えるようになるには、やっぱ案件もらってやってくしかないって考えてるんです。なので、担当さんには、案件あったらくださいってお願いしています。
—— 自信つけるために案件を手がける…、すごくマッチョな思想ですね。とくに興味のある業界はありますか?
清水さん:うーん、業界については選んでないですね。結構なんにでも興味を持てるタイプなので。強いていえば、美容医療系は長くやってたので、あえて飛び込みたい感じではないかな。距離を置いているわけではないので、全然いただけたらやりますけど。ずっと同じ業界のサイトを作っていると、トーンとかそっちに引っ張られちゃって、それが偏りになってしまうこともあるんですよね。
清水さん:今、請け負っている案件が不動産系で、初めての業界なんですけど、面白いです。不動産も結構知識が必要で、クライアントの方にすごく教えていただいていて、「こういう世界なんだ〜」って学びながらやっています。どちらかといえば、全然今までやったことない業界の方が、強く興味が持てるのかもしれないですね。

—— 会社員時代のお話を聞いてても思ったんですけど、質問力がある感じですよね。質問する時のコツってありますか?
清水さん:そうなんですかね?どうなんだろう。ただコミュニケーションの延長で…、どういう感じの世界なんだろうな?という興味から質問して、教えてもらったりしています。あとは、デザインに関するところでは、「こういう意図だろうから、こういうデザインしたんですけど、あってますか?」って、必ずこちらから考えと案を持っていくようにしていますね。自分の意図を説明しながら専門家に聞く、という感じです。
—— 手ぶらで行かない!勉強になります!
清水さん:ええ!?いやいやいや(笑)
柔軟であることの強さ
—— コミュニケーション力、スケジュール管理、質問力…、フリーランスとして一番役に立っているのはどのスキルですか?
清水さん:フリーランスは、優先順位を自分で管理していかないといけないので、スケジュール管理の能力は必要かなと思いますね。仕事柄かな、私の時代のデザイン会社の人って、スケジュール管理がゆるめだったんです。でも、案件をいただいてる企業の方々は、本当に進捗管理をしっかりしている。だからこっちもしっかりしなきゃ、と思うことはあります。
次に、デザインうんぬんよりも、まずクライアントさんと自分でやり取りしてかなきゃいけないので、信頼とか培っていくためには、基礎的な部分としてコミュニケーション、ですかね。
—— 清水さんは、これからもずっとデザイナーされていくつもりですか?
清水さん:こんなこと言っていいのかわからないですけど、いずれは全然違うこともするかもしれませんよね。少し前になりますけど、コロナ禍で人と話さない時期がありました。私、あれが結構しんどかったんですよね。なので、話す仕事とかいいなって思います。接客業とか。
デザインの世界って、ずっと勉強をしていないと流れに置いてかれちゃうんです。先のことを考えると、年齢的にそれが難しくなってくる時期があるんじゃないか、って。あとは、体力的に厳しくなってくるときもあるかもしないと思います。なので、デザインだけじゃなくて「なんでもできる人」になった方がいいのかなとは思います。もちろん、デザインも続けられる限り続けたいんですけど、ほら、目とか疲れますし(笑)。
—— なんて柔軟な!デザイナーをしながらちょっと接客をやるとかもありですよね。
清水さん:そうそうそう。でもこれがもし会社員だったら、「その道しかない」「辛くても絶対続けてないといけない」って思っていたかもしれないな、って感じるんです。私は、基本的に何に対しても「嫌だ」という感情があまりなくて。よほどじゃない限り、何にでも興味が持てるんですよね。
そう考えると、別の職業が選択肢として自然に上がってくるのは、いろんな業界と関わっているからかもしれませんし、フリーランスであることによって、幅広く物事に興味を持ち続けられているのかなとも感じます。
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