業務委託契約を締結する際に起こりがちなトラブル事例6つと対処法を解説 | フリーランス・業務委託採用|クロスデザイナー

業務委託契約を締結する際に起こりがちなトラブル事例6つと対処法を解説

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業務委託契約は、社外の人間へ業務の一部を委託する契約です。業務委託契約書では業務内容をはじめ、報酬や再委託に関する内容までこまかく定めます。事前にしっかり取り決めておかなければ、のちにトラブルにつながるおそれもあるため注意しなければなりせん。

この記事では、業務委託契約で起こりがちなトラブル事例6選と対処法について解説します。フリーランス・個人事業主と良好な関係を築くためにも、ぜひ参考になさってください。

業務委託契約とは

業務委託契約は、自社の業務の一部を社外の人材に委託するときに交わす契約です。業務内容や報酬の支払条件、禁止事項などを記載した業務委託契約書を作成し、双方で合意を得たら契約を結びます。

業務委託契約は雇用契約と異なり、委託者と受託者に指揮命令関係がないため、委託者は受託者に対して契約以外の業務や残業などを指示できません。

なお、契約書の作成には無料配布資料「【ポイント解説付き】業務委託に必要な4つの契約書テンプレート」をお役立てください。下記より無料でダウンロード可能です。


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業務委託契約の各契約形態の特徴

業務委託契約は「請負契約」「委任・準委任契約」の2種類に分けられます。契約形態ごとに報酬の対象が異なり、印紙代が必要なケースもあるため注意が必要です。それぞれの特徴について解説します。

請負契約

請負契約は、成果物の納品を目的とした契約です。おもにプロジェクトとして、事前に成果物の仕上がりや納期を決めて契約を結びます。

請負業務は、業務を遂行したうえで完成した成果物の納品を目的としているため、成果物を作るまでにどんなに時間がかかったとしても納品されなければ、報酬は発生しません。また、納品された成果物が委託内容に沿わないときは、完成するまで受託者に対して修正を依頼できます。

委託・準委任契約

委任・準委任契約は業務を遂行するための労働力や役務に対して報酬が支払われる契約です。それぞれ以下のような特徴があります。

委任契約:法律行為に対する報酬

準委任契約:労働力に対する報酬

業務委託とほかの契約の違いは下記の記事でも解説しています。

関連記事:業務委託とは?簡単に、ほかの契約との違いやメリット・デメリットを解説

業務委託契約のトラブル事例6選と対処法

業務委託契約は雇用契約と違うこともあり、トラブルが発生しやすい契約形態です。ここでは業務委託契約に関するトラブルの事例6選とその対処法をご紹介します。

トラブル1. 偽装請負

「偽装請負」とは、業務委託契約を結んだ受託者を自社の従業員と同じように指揮命令下において業務を遂行させている状況を指します。

委託者は業務委託契約を結んだ受託者に対して原則、指揮命令は出せません。もし業務の進め方や働く場所などについて指揮命令を行った場合、「偽装請負」と判断されて罰則の対象となります。

偽装請負と判断される4つのケースをみてみましょう。

代表型

出退勤・勤務時間などこまかい指示を出すパターン

形式のみ責任者型

委託者が現場の責任者をとおして指示を出しているパターン

使用者不明型

A社がC社に発注した業務を、C社がB社に業務委託。C社と業務委託契約を結んだ受託者がA社から指示を受けて働くというパターン

一人請負型

業務委託を結んだ受託者が企業へ常駐するなどして、一人で業務を遂行するときに管理責任者から指示を受けているパターン

偽装請負と判断されると、労働者派遣法と職業安定法など複数の法令の罰則が科せられます。厚生労働省『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区別に関する基準』に記載されている以下の事項に該当しないように注意が必要です。

  1. 労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと

  2. 労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと

(引用:厚生労働省『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区別に関する基準』)

とくに業務委託人材を常駐させていると、ほかの社員と同じように扱ってしまって「ついうっかり」といったケースもあります。社内に周知し共通認識をもつことが大切です。

偽装請負に関するトラブルの事例は以下の記事でも紹介されています。

関連記事:偽装請負とは?業務委託契約で違反となる3つの判断基準と罰則事例を解説

トラブル2. 二重派遣

二重派遣とは本来、派遣労働者が派遣先の企業とは別の会社で働くことです。業務委託契約の二重契約が懸念されるケースとしては、SES契約(システムエンジニアリング契約)があげられます。SES契約とは、委託者が受託者に別の取引先から請け負った業務を遂行させる契約です。

そもそもフリーランスとは雇用契約を結んでいないため、指揮命令権がなく派遣契約を結ぶことはできません。業務を進めるにあたって、取引先から指揮命令を受けた場合、二重派遣となり、委託者だけではなく取引先も以下の罰則を受けることになります。

  • 職業安定法第64条9項

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

  • 労働基準法第118条

1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

事業形態によっては取引先に展開するシステムを管理できるフリーランスを採用しようとしてもらうために、こうした派遣形式の方法を考えている人もいるかもしれません。

しかし、先述の通りさまざまな法律に抵触することになるため、業務委託契約を結んだフリーランスの二重派遣はしないように注意してください。

トラブル3. 中途解約 

そもそも中途解約は必ずしも違法行為ではありません。請負契約の場合、受託者が成果物を納品するまでの間であればいつでも契約の解除が可能です(民法第641条)。また、準委任契約も業務の遂行など労働力に対する契約のため、「ほかの人を探したいな」と思ったら基本的に自由に解約できます(民法第651条)。

ただし、下記に該当する場合、受託者に対して損害賠償をしなければなりません。

1. 相手方に不利な時期に委任を解除したとき

2. 委託者が受託者の利益をも目的とする委任を解除したとき

(引用:e-GOV法令検索 民法651条e-GOV法令検索 民法

上記に当てはまる場合でも、やむを得ない理由があるときは損害賠償の必要はありません。

トラブル4. 報酬が払えない

業務委託契約を結ぶ受託者より多く聞かれるトラブルです。報酬が払えないときは納品後の工程によるものと、資金繰りの2つの理由が考えられます。

受託者から「報酬が振り込まれていない」と報酬の未払いを指摘されたときは、以下を確認してください。

  • 事務処理にミスがないか
  • 納品後の工程が長引いていないか
  • 請求書は正しく受理されているか

こうした理由で報酬の支払いが遅れているなら、確認後すぐに受託者へ伝えることで信頼関係を保てます。資金繰りの悪化が原因で報酬の支払いが遅れているときは、受託者へ言い出しにくいものですが、内容証明書や裁判所からの支払督促を受けてから対応するよりも、心象は悪くなりません。

下請法(下請代金支払遅延等防止法)が適用される場合、支払いが遅れている期間分の「遅延損害金(遅延利息)」が発生します。業務委託の遅延損害金の利率を契約書で定めてい居ない場合、法廷利率の年3%(民法404条)が適用された額を受託者へ支払わなければなりません。

ただし、法廷利率は3年ごとに見直しが入るため変動する可能性があります。民法改正のたびに契約書を見直す負担を減らすために、固定の利率を決めておく方法もあります。

トラブル5. 機密情報漏洩

社内の業務の一部を社外の人材へ委託するため、業務内容によっては機密情報が含まれるケースも少なくありません。受託者に落ち度があり機密情報が漏えいした場合、自社の信頼が損なわれてしまいます。とくにインターネット回線を使用するIT系の業務委託は、セキュリティ対策や情報管理を徹底させなければなりません。

機密情報を扱う業務を委託するときは、業務委託契約書に「秘密保持義務・守秘義務」の条項を設けて、情報の共有方法などを明確に定めておくことが大切です。

また、機密情報を扱う業務を委託するときは、情報管理について明記した業務委託契約書を作成するか、別途「NDA(機密保持契約書)」も結んでおくことをおすすめします。NDAは守秘義務契約とも呼ばれていて、業務で知り得た情報を漏えいさせないことを約束するための契約書です。

また、業務委託を結ぶ前に、本当に外部へ委託が必要な業務なのか社内でしっかりと検討してください。業務を任せても良い人材かどうか人選も大切です。

トラブル6. 業務の再委託

受託者が自身が請け負った業務を第三者へ委託する「再委託」もよく聞かれるトラブルのひとつです。請負契約の場合、「業務を遂行して成果物を完成させる」ことができればいいので、再委託が問題になることはありません。ただし内容によっては、第三者に丸投げができない業務もあるため注意が必要です。

準委任契約は、受託者が業務を遂行することを約束している契約のため、再委託は原則禁止されています。

ただし、準委任契約でも委託者が認めている場合や、受託者がやむを得ない事情で業務が遂行できなくなった場合に限り、再委託が認められます(民法第644条の2)。

こうした理由がなく、再委託されたうえで委託者が損害を被ったときは、再委託を行った受託者に対して損害賠償の請求を行うことが可能です。

業務委託契約でトラブルを防ぐ方法

「業務委託契約はなんだか難しそう」「トラブルが心配」と不安に思う担当者も少なくありません。業務委託契約におけるトラブルを防ぐ方法をご紹介します。

業務委託契約書の内容を見直す

業務委託契約に関するトラブルを未然に防ぐには、業務委託契約書の作成方法に気を付けなければなりません。各条項の書き方についてかんたんに解説します。

委託業務・契約期間

委託業務の内容をできるだけこまかく定めて記載します。くわしく書いておけば当事者間で共通の認識がもてるため齟齬が生まることがありません。

または大まかに記載をして、こまかい業務内容は「別紙に定める」と別でまとめる方法もあります。別紙にまとめる方法は業務内容が変動する場合に便利です。

報酬・委託料

成果物や労働力に対する報酬金額や支払い方法、支払い期日、支払い条件などを記載します。着手金があるときはその内容についても盛り込みましょう。

委託者の企業規模や委託する業務内容によっては、下請代金支払遅延等防止法が適用されるケースもあるため、法令を意識して作成します。お金に関することなので、きちんと定めておくことが大切です。

再委託

第三者へ再委託することを認めるかどうかを定める条項です。一般的に以下のような文言を記載します。

再委託のパターン

記載する文言の例

一切禁止の場合

本件業務をいかなる場合も第三者に再委託することはできない

再委託OKの場合

自己の判断で本件業務を自由に第三者に再委託することができる

承諾つきで再委託OKの場合

事前に甲の承諾があれば、本件業務を第三者に再委託することができる

再委託を認める場合、再委託先には委託先と同じ義務を守らせなければいけません。また、再委託で損害が生じた場合、受託者の責任の範囲も定めなければなりません。リスクを最小限に抑えるため、再委託の対象とする業務を選定し、進捗に応じて定期的な見直しも必要です。

秘密保持

秘密保持は業務上知り得た秘密情報の取り扱いについて定めておくための条項です。秘密情報には企業独自のノウハウや顧客情報などがあります。以下の3点について定めておかなければなりません。

秘密情報の範囲

どのような業務が守秘義務の対象か

秘密保持の規定の有無

「第三者開示の禁止」または「目的外利用の禁止」の規定が入っているのか

秘密保持の例外

例外となる秘密情報があるか、必要最小限の開示範囲であるか

秘密保持の期間は一般的に契約締結から契約解除までです。期間の設定が必要なときは始まりと終わりの時期を記載してください。

損害賠償条項

契約違反時の損害賠償の範囲を決める。当事者の権利が大きく偏るときは、裁判になっても無効とされる可能性も高いため、過度な設定をしないように注意が必要。

知的財産の取り扱い

業務内容によっては業務遂行の過程で著作権など、知的財産権が発生することがある。

契約不適合責任

契約不履行など契約違反時の損害賠償の条件を決める条項です。損害の範囲や賠償金の上限は、民法第415条に則って作成することもあれば、企業独自のルールを設定できます。損害の範囲や賠償金額の上限に関して、受託者が納得したなら自由に設定できます。

しかし、当事者の権利がどちらかに大きく偏っていると、いざトラブルが発生して裁判まで発展した場合、無効とされる可能性も高くなります。また、損害賠償請求の時効期間を短くする条項も無効となる可能性が高いため、バランスを意識して設定をすることが大切です。

契約解除

契約の解除について定める条項です。業務委託契約の契約解除は民法上、契約不履行でなければ契約解除は認められません。万が一、契約不履行となり損害を被ってからの契約解除はリスクが大きすぎます。

そこで、なるべくリスクを抑えて契約解除できるように、無条件で解除できる期間や条件などをしっかり取り決めておきましょう。万が一、トラブルとなったときにこまかいコミュニケーションを取らなくても条件を確認したうえで契約解除ができます。

なお、契約締結時に「ジョブディスクリプション作成ガイド」を活用することで個人事業主やフリーランスへ委託する業務を明確に定めることができます。トラブル時にも効果を発揮するのでおすすめです。下記よりテンプレートを無料でダウンロードいただけます。ぜひお役立てください。


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定期的に勤務実態を把握する

業務委託のトラブルを防ぐには、定期的に受託者と面談をして指揮命令を受けていないか、そうした状況と感じたことはないかを確認することが大切です。

とくにトラブルのなかでも多い偽装請負は、委託者も「ついうっかり」といった故意ではないケースも多く、定期的な確認により防ぐことができます。ただ、対面だと伝えにくいことも考えられるため、匿名アンケートもあわせて実施すると良いでしょう。

委託者側は以下の職業安定法施行規則4条1項のひとつでも該当していれば偽装請負と判断されます。

1. 作業の完成について事業主としての財政上及び法律上の全ての責任を負うものであること。

2. 作業に従事する労働者に対し、指揮監督するものであること。

3. 作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定された全ての義務を負うものであること。

4. 自ら提供する機会、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作用を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。

(引用:職業安定法施行規則

受託者の勤務実態の確認とともに、定期的にセルフチェックを行うことが大切です。

自社で直接雇用する

業務委託で人材を確保するには、法律に則った契約書の作成にくわえて、偽装請負のリスクなどもふまえた活用方法を検討しなければいけません。こうしたリスクを抱えて業務を委託するくらいなら、いっそのこと直接雇用したほうがリスクを抑えることは可能です。

直接雇用により指揮命令が出せるうえに進捗把握しやすくなります。業務委託契約期間を試用期間として活用できるため、専門スキルをもった人材を時間と費用を抑えて確保することが可能です。

業務委託から正社員採用のメリットや注意点は以下の記事で解説しています。

関連記事:業務委託から正社員採用は可能?直接雇用のメリットや注意点を解説

信頼のおける人材派遣会社を選ぶ

トラブルなくスムーズに業務を委託するには、専門知識を持った優秀な人材を探さなければなりません。業務委託で活用されるプラットフォームの登録者から、適した人材を選ぶのはたいへんです。人材派遣会社なら希望条件に沿った人材を提案してくれます。人材を探す時間や手間を省けるのでおすすめです。

直接雇用を前提とした業務委託をお考えなら『Workship』がおすすめです。『Workship』は45,300人のフリーランスが在籍するフリーランス専門のエージェントです。賠償責任保険が自動で適用されるため、トラブル時のリスクを軽減できます。

デザイナーをお探しならクロスデザイナーにおまかせください

業務委託契約は雇用契約と異なり、指揮命令権や法令順守など注意しなければならないことが多くあります。とくにデザインやイラストなど成果物を対象とする請負契約は偽装請負や情報漏えいのリスクもあり、契約書の作成に悩む企業も少なくありません。

フリーランスデザイナーへ業務委託をお考えなら、クロスデザイナーにおまかせください。

クロスデザイナーはフリーランスデザイナー専門のエージェントです。Workshipに登録する約7,000人のデザイナーより、自社に適した人材をご提案します。

下記より、サービス資料を無料でダウンロードいただけます。業務委託契約をはじめ正社員転換のサポートも行っています。専門スキルをもつ人材の採用方法のひとつとしてぜひお役立てください。


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吉永 ゆくら
記事を書いた人
吉永 ゆくら

デザイン系の専門学校でグラフィックデザインを学ぶ。デザイン事務所に就職後、縫製業と企業の専属ライターを経てフリーランスに。デザイン・縫製・Webとものづくりの楽しさとやりがいを仕事を通して感じています。現在はオウンドメディアのコンテンツ制作を中心に活動中。